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半導体部品のボーリング加工とは?

半導体製造装置部品では、超高真空環境への対応やプロセスガスのリーク(漏れ)防止、極限までの微細化に伴い、穴の位置精度(ピッチ精度)、真直度、同軸度、そして内径面の極めて高い平滑性が求められます。ボーリング加工は、ドリルやエンドミルなどで形成した下穴を、目的の寸法や厳しい幾何公差、微細な面粗さへと仕上げる中ぐり加工です。本記事では、半導体分野でボーリング加工が検討される部品、特有の難削材加工における課題と対策、品質保証、そして実在する加工事例を解説します。

半導体製造装置におけるボーリング加工とは

微細化と真空環境を支える高精度な内径仕上げ

半導体製造装置の内部は、塵ひとつ許されないクリーンルーム環境であり、さらには強酸・強アルカリの腐食性ガスが飛び交う超高真空チャンバー内でプロセスが進行します。そのため、装置を構成する部品の締結穴、ガスや冷却水の流路、センサーの挿入穴などには、一般的な機械部品を遥かに凌ぐ「ガス溜まりを作らない平滑性」や「寸分の狂いもない位置精度」が求められます。

半導体分野のボーリング加工では、単に丸穴をくり抜くだけでなく、マシニングセンタやジグボーラー(治具中ぐり盤)を駆使し、ミクロン(μm)単位の寸法公差や幾何公差をクリアする工程設計が不可欠です。加工熱によるワークの変位、工具摩耗による内径寸法の変化、測定環境の温度管理までを徹底的にすり合わせる必要があります。

穴精度と工程設計の考え方

半導体ウエハの配線が微細化するにつれ、装置部品に求められる幾何公差(同軸度、直角度、真円度など)は厳格化の一途をたどっています。例えば、長い流路穴の奥で径がすぼまったり、入口と奥で中心軸がズレたり(同軸度の低下)すると、ガスの流量不均一やリークの原因になります。荒加工後の応力除去(エージング・熱処理)、仕上げボーリング、そして三次元測定機による厳密な検査を組み合わせた、一貫した工程設計が重視されます。

ボーリング加工が使われる半導体製造装置部品

チャンバー(真空容器)および周辺構成部品

半導体製造の「前工程」で中心となる成膜装置やエッチング装置では、内部を真空に保つための「チャンバー(真空容器)」や、ウエハを保持・搬送する「ステージ」、ガスの供給口となる「シャワーヘッド」などに高精度なボーリング加工が多用されます。

特に大型のアルミのブロックから削り出すチャンバー部品では、多数の配管穴や覗き窓、ネジ穴のピッチ精度が厳しく制限されます。これらは大物加工の設備能力と、薄肉部が歪まないための高度なクランプ(固定)技術、および正確な中ぐり技術が組み合わさることで初めて実現します。

各種マニホールド・バルブ・配管ブロック

装置内部に特殊なプロセスガスや超純水を高い応答性で供給するため、複雑な流路が刻まれたマニホールドやバルブブロックが使用されます。流路の合流地点や弁座(バルブシート)にわずかでもバリや「びびり(加工時の振動目)」があると、そこにガスが滞留してパーティクル(異物)を発生させるリスクがあります。そのため、ボーリング加工による極めて滑らかな面粗さ(Ra値の極小化)と、バリを出さない精密な刃先管理が施されます。

半導体部品のボーリング加工における課題と対策

難削材および硬脆材への対応

半導体製造装置部品には、耐食性や耐熱性に優れるステンレス(SUS316Lなど)や、高硬度な硬脆材(こうぜいざい)であるセラミックス(アルミナ、炭化ケイ素など)が多用されます。これらは工具の摩耗が激しく、加工硬化を起こしやすい、あるいは加工時にチッピング(欠け)が生じやすいという特性を持つ難削材です。

対策として、高剛性なツールホルダーの採用による振動の徹底抑制、最適な切削条件(周速・送り量)の割り出し、 tender 刃先へ的確にアプローチするクーラント(給油)システムが挙げられます。また、非常に高い硬度を誇るセラミックスの穴加工では、高精度なマシニングセンタや超音波加工を組み合わせた特殊な中ぐり・研削技術を用いて、内径面を傷なく滑らかに仕上げます。

品質保証とトレーサビリティ

半導体業界向けの部品調達では、寸法の合格だけでなく、製造工程におけるクリーン度の維持や、材料調達から加工・検査に至るまでの「トレーサビリティ(製造履歴の追跡可能性)」の証明が強く求められます。使用する切削油の成分指定や、加工後の洗浄度合い、測定データの保管体制についても、事前に加工会社と綿密な仕様合わせを行うことが、トラブルを未然に防ぐ最大のポイントです。

半導体製造装置部品のボーリング加工事例

インバー材の深穴ボーリング加工

インバー材を用いた半導体製造装置部品の深穴ボーリング加工事例
画像引用元:長尺部品加工センター.COM(https://kikaibuhin-tuuhan.com/column/1338/)

長尺・超高精度部品加工を手がける城陽富士工業株式会社の事例では、半導体や液晶製造装置向けに、低熱膨張材であるインバー(またはスーパーインバー)を用いた精密穴加工が紹介されています。マシニングセンタを用いて側面に深穴加工を行い、底面に対しての平行度10ミクロン、同芯度10ミクロンという非常に厳しい精度要求をクリアする深穴ボーリング加工を施しており、温度変化による変形を防ぐ材質特性を活かした超高精度加工技術が示されています。

ステンレスバルブの精密中ぐり加工

YASDA製ジグボーラーを用いた半導体バルブの精密中ぐり加工事例
画像引用元:中野鍛造所 公式HP(https://www.nkn.co.jp/equipments/yasda.html)

高精密金型・部品加工を展開する株式会社中野鍛造所の事例では、高精度加工分野で世界的に高く評価されている「YASDA(安田工業)」製のジグボーラー(治具中ぐり盤)を使用した製品実績が紹介されています。半導体製造装置用として使われるステンレスバルブをはじめ、産業ロボット用高精密バルブなどの加工において、厳しい幾何公差や面粗度要求を満たし、超高真空や流体制御に必要な高い気密性を確保する超精密中ぐり加工に対応しています。

吸着テーブルの精密切削加工

A5052を用いた半導体関連吸着テーブルの研磨レス精密切削加工事例
画像引用元:HILLTOP株式会社(NCネットワーク掲載実績)(https://ja.nc-net.or.jp/company/73066/product/detail/70370/)

多品種短納期加工に強みを持つHILLTOP株式会社の事例では、半導体関連部品として使用されるアルミ(A5052)素材の「吸着テーブル」の加工実績が紹介されています。平面度や平行度に対する要求が極めて厳しい吸着テーブル部品に対し、通常行われる研磨工程を挟むことなく、マシニングセンタによる高精度な精密切削加工のみで図面公差をクリアしており、独自の自動化生産システムを活かした高品質な半導体部品製造が実証されています。

まとめ

半導体製造装置部品のボーリング加工では、超高真空や腐食性ガス、極微細化といった苛烈な要求に応えるため、穴径の公差だけでなく、同軸度、真直度、バリなき滑らかな面粗さ、阻害要因となる熱変位や素材特性まで踏まえた高度な工程設計が重要です。チャンバーや流路ブロック、吸着テーブルなど、対象の材質やサイズによって必要な設備や検査体制は変わります。難削材や精密加工を依頼する際は、加工実績、測定体制、検査書類、試作時の条件出しまで確認し、図面要求を共有したうえで相談しましょう。

【加工部品別】ボーリング加工会社3選

製造部品に応じた精度要求にしっかり応えられる、信頼性の高い技術や実績を持ったボーリング加工会社を選ぶことは、再検査・差戻しの工数を考慮すると、トータルコストの削減に繋がります。ここでは「治具ベース・鋳物」「大物部品」「アルミ加工部品」と用途が異なる部品分類に着目し、信頼できるおすすめの加工会社を厳選紹介します。

治具ベース・鋳物加工なら
新川製作所
新川製作所
引用元:新川製作所
(https://www.shinkawa-ss.jp/)
おすすめの理由
  • YASDAのマシニングセンタを駆使したボーリングで、複雑形状の治具ベース加工や技術力が必要となる鋳物加工にも対応。
  • 専任加工エンジニアが、条件設定、製造・加工、測定まで一気通貫で対応し、治具の品質を担保。
主な設備 5軸+5P マシニングセンタ[YASDA]YBM 8T-63TT
架台やプレートなど
大物部品なら
北條製作所
北條製作所
引用元:北條製作所
(https://hojo-s.co.jp/)
おすすめの理由
  • ボーリング加工・大物部品加工の専業メーカーで100年以上の実績(※1)があり、信頼性が高い品質保証体制を構築。
  • 希少な最大加工面積高さ1350×幅2500×長さ5000mmに対応。監視カメラで24時間加工を実現。
主な設備 5面加工門形 マシニングセンタ[オークマ]MCR-A5C
アルミ加工部品なら
HILLTOP
HILLTOP
引用元:HILLTOP
(https://hilltop21.co.jp/)
おすすめの理由
  • 長年研鑽されてきた職人技術や加工ノウハウをデータベース化し、未経験でも完成度の高いアルミ加工ができる仕組みを構築。
  • 「HILLTOP SYSTEM」による独自のオートメーション生産で、アルミ加工の多品種・短納期を実現
主な設備 5軸マシニングセンタ[松浦機械]MAM72-63V

(※1)参照元:北條製作所( https://hojo-s.co.jp/about/)※2024年10月調査時点